Gコミ216 2013年11月号

木造応急仮設住宅への取り組み

東日本大震災の時、東北3県において木造仮設住宅が大変活躍しました。

全体の数から見ると少数ではありますが、かつて無い規模の木造仮設住宅が立ち並び、杉の外壁と三角屋根の仮設住宅が多くの報道で目を引いていたと思います。

木造仮設は地域の工務店が造るので、現地の労働力と資材を積極的に活用することによって被災地雇用を生み出し、また居住性の高さから被災者の心と体の負担を少しでも減らすと高い評価を得ました。

今回の震災は規模の大きさからプレハブだけでは足らず、国から工務店業界に要請が入りました。そこで急きょ工務店と建設職人の団体が手を組み「全木協」という組織を立ち上げました。そして県と災害協定を結び、工務店も応急仮設住宅を請け負えるようになったのです。

プレハブ協会が協定を結ぶ前の1964年の新潟地震以来、初めて木造仮設住宅が建設されるようになりました。その後全木協では今後起こりうる震災や非常時に備え、既に全国14 都道府県で協定を結んでいます。東京都では、「全木協東京都協会」を立ち上げ、今年8月に東京都と災害協定を結びました。

大和工務店も地域の役に立つ事が出来るよう、災害時に仮設住宅や復興施設などを請け負う主幹事工務店に登録しています。

そして、11月末には工務店や大工職人に対して実際に建てる講習会を開く予定です。

先月、最初に開催した徳島県での講習会を見学して来ました。

初回とあってNHKや地元放送局で報道され、木造仮設住宅に対する大きな期待がうかがえました。

講師は実際に福島県で木造仮設を500 戸建てた工務店で、参加した50 名ほどの大工職人と実際に建てながらレクチャーしていただきました。

難しさは震災後の混乱下で3 週間という短い工期を守る事で、いかに人をまとめ、安全かつスムーズに現場を進められるかだと言います。

集まった大工職人は十分に技術を持つ木造建築のプロなので、能力を活かす事が出来れば必ず良い仮設住宅が出来るそうです。

全木協東京都協会は、弊社を含めた6 社の工務店と多数の建設労働職人が登録され、災害時に500戸の応急仮設住宅の要請を受けられる準備を進めています。

この協力体制が東京の「地域型住宅ブランド化」の取り組みにも活かされていて、当協会では昨年に続き今年度も補助事業に 採択されています。

代表取締役社長 鈴木 晴之

少し古い家づくりの話

5~60年前、今とは違った仕事や職人の事を私の記憶をたどりながら少し書いてみようと思います。

大晦日に“よいとまけの歌”をNHK の紅白歌合戦で三輪明宏が歌い話題になりましたが、70歳以上の人にとってはあの掛け声は耳にしみついているのではないでしょうか。姉さんかぶりに筒袖の絣の上着を着てモンペに地下足袋姿の女たちが、5~6人でやぐらを囲み“父ちゃんの為ならえんやこーら”と言いながら縄を引き、もんけんを引き上げて杭を打つ姿は60代の私も鮮明に覚えています。

技術的な話は、10尺ぐらいの松杭を打ち込んで家の地業(じぎょう)をするわけですが、江戸川区は水位が高いので地表から3尺くらいまで杭を打ち込み、ろうそく石を立てその上に基礎を作ったものです。松の木は腐りやすいですが水の中にあれば腐らないので長い間杭としての役割を果たせるわけです。

ただ最近はこの辺りでは下水工事の折に一時的に水位が下がったため、古い家の改修に伺うと杭が溶けて空洞しかない家がありました。それでも傾いてはいませんから、木造の家はいかに軽いかが証明されたようなものです。

こうして出来た杭の上にコンクリートを打ち基礎を作るために、まず割栗地業という砕石を敷き並べて地盤を強くする作業を行います。割栗(わりぐり)を木端(こば)立てに貼るというのですが、おおむね3角形をした石の一番とがった部分を地面に突き立てるように並べ、それでいて大きさの違う石が上の面の見えるところはほぼ平らになるように並べる事を割栗貼りと言い、ただ並べれば良いということではないようです。

これをタコと呼ばれる太い丸太に持ち手を何本か取り付けた道具で転圧をします。ちょうどタコを逆さにした様な恰好なのでこの名前が付いたのでしょう。私は持ち手が6本のものまでは見た事が有りますが、8本付いた本物のタコもあるかもしれませんね。

基礎が終わると次に大工です。まず土台や柱、梁に墨を付け刻んでいき、組み立てます。

刻みの作業は現在では機械で切ったり穴を掘ったりしますが、当時は全て手作業で、穴を掘る専門の大工がいて「穴屋」と呼ば れていたそうです。当時は月2回の支払いだった給料をもらうと何日か遊び歩いてお金が無くなると舞い戻り、親方から前借をして食いつなぐ職人も多くいました。

宵越しの金は持たないという江戸っ子堅気の名残りだったのでしょうか。中には気に入らないと手間をもらってそのままふらりと出て行ってしまう職人もいたようで、渡り職人と言われ、西行法師にちなんで“西行”などとしゃれた呼ばれかたをしていたようです。

大工は絵図板1枚で墨を付け刻むといわれており、一般に、易しい小屋組み(屋根の骨組)は仮組をする事は無く、複雑な小屋組みの時に仮組をして確認をしていました。

私の住んでいた隣の大きな原っぱで小屋の仮組みを行っていた事があります。この後棟上げを行いますが、上棟式も今とは違 ってずいぶん賑やかに執り行われました。これはまた機会があったら書こうと思います。

屋根の工事も今とはだいぶ違います。瓦の下に敷く防水紙が無いので、トントン葺きという、長さ30cm 位の薄い板を重ねて貼り付けて防水紙の代わりにしていました。

この材料を何枚重ねるかが建物のグレードで2枚から4枚ぐらいまで有ったような記憶があります。この職人をトントン 屋さんと呼んでいて、15mm 位の小さな釘でこの板を野地板に打ち付けていくのですが、この時にトントンというリズミカルな音がして聞いていて気持ちの良い音でした。トントン屋さんは釘を口に含んで、口の中で釘の頭が外に向くように向きをそろえて出し、大きめのさいころのような頭の玄能(金鎚)で1本ずつ屋根に打ち付けていきます。玄能を口と屋根に交互に運び打ち付けていく動作は子供心にも恰好の良いものでした。

瓦屋さんも大変で、肩に担いで瓦を屋根に上げていました。

肩の上に腕いっぱいの高さに瓦を乗せ梯子を上っていったものです。瓦屋さんに聞いたところ左手で体を引き上げるようにして上る のだそうですが、昔の瓦は今の瓦より重かったので本当に大変な作業だったと思います。

瓦を止めておくための土も今よりは多かったので、とにかく上に運ぶ重いものが多くて大変な仕事でした。近所に日本でも指折りの瓦屋さんが居たおかげで、屋根の上に上がっては瓦の勉強をさせてもらいましたが、重いものを上に運ぶ手伝いはできませんでした。今でもこの屋根上での講義がとても役立っています。

左官仕事は特に現在とは大きく違う職種です。

たとえば内壁の下地は木舞(こまい)と言って、竹を裂いたものを格子状にわら縄で組み込んで下地を作り、荒木田(あらきだ) という土に稲わらを5 センチぐらいに切ったものをすさ(✤)として練りこみこれを塗って下地を作り、乾かしてから漆喰や京壁の土を塗って仕上げたものです。

木舞は今でも古い家を壊すと出てくるので目にとまることもあると思います。

外壁のモルタル仕上げは最近見直されてきた仕上げです。表面はあまり変わりがないように見えますが、下地のラス網は大きく違って昔はワイヤーラスという網を使っています。今でもネットフェンスに使われているので目にすることの出来る網ですが、これの細いものが壁下地に使われています。

下地だけでなく壁の材料も大きく違っています。これは目で見てもわかりませんが仕事と仕上がりが良くなるような工夫がされています。

今ではなくなってしまいましたが、道具を担いで現場や下小屋に来た商人たちです。砥石屋、鉋やノミを売る道具屋達が昼休みなどに訪ねてきて、職人たちと道具談義をしながら商品を売りつけていました。このような商人から色々な情報を仕入れていたようです。鋸の目立て屋も全くなくなってしまった商売の一つです。(後関)

参考
(✤)すさとは土やしっくいを割れにくくするため入れる「つなぎ材」の総称。藁や麻などいろいろ種類があります。

第15 回 産業ときめきフェア in EDOGAWA

日時:11月15 日(金)~16 日(土)
   10:00~17:00(最終日は16:00 まで)
会場:タワーホール船堀 1・2階展示ホール (江戸川区船堀4-1-1)
入場無料

130 社を超える製造業を中心とした企業が一堂に会し、展示・実演などを通じて優れた製品・技術力を紹介していくとともにビジネス情報の交流を促進し、企業の活性化を図ることを目的として開催します。
江戸川区伝統工芸の実演や学生の研究も発表され、誰もが楽しい展示会です。

中学生の職場体験

弊社では、毎年職場体験として学生を受け入れています。今年も10月末に中学生が職場体験に来てくれました。中学生たちには、現場作業と事務作業をしてもらいました。

新築の現場で、大工の作業を間近で見たり、掃除をして手伝いをしました。

中学生たちは、多様な電動工具を使って大工が家づくりをしている様子を見て、自分たちのイメージしていた大工とは違った様で、とても驚いていました。

また、物づくりの体験として、現場の端材を使い「プランターカバー」を作りました。

事務所では、新築予定の建築模型を作りました。見本を見ながら作業をしましたが、細かい模型作りを集中して行い、きれいに仕上げるのは難しかったようです。

今年は新たにお箸づくりも体験してもらいました。国産材の桧やヒバの材料に自分で鉋をかけて作ります。大工さんに指導を受けながら、鉋を使い上手に仕上げました。

体験に来るまでは、大工の仕事を想像して工務店に来た二人ですが、この五日間で、工務店の仕事について少し知ってもらえたかなと思います。(梶野)

11月に大和工務店で行う教室

荷造り紙バンドを使ったかご作り
日時:13日(水) 16日(土)  午後1:30~
費用:900円(かご1~2ヶ作れます)
パッチワーク教室
日時:12日(火) 22日(火)  午後1:30~
費用:1ヶ月 300円(コピー代等)
※両教室とも前日までにお申込みください。

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